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木の上のまくらのすけ

1 :まくらのすけ:2011/12/08(木) 22:01:46.83
「木の上のまくらのすけ」とみんなは少年のことを呼んだ。
 なぜかというと、少年は木登りが得意で、よく他のだれも登れな
いような高い木の上に登っては、そこでぼんやりとしていたからだ。
「あぶないぞ、あぶないぞ」と親や先生たちは口をすっぱくしてい
ったが、こればかりは止められなかった。木登りそのものよりも、
木の上でひとりぼんやりいろいろなことを空想するのが、少年は好
きだった。
 木の上は別世界だった。
 そこは彼だけの王国であり、親も先生も友達もいなかった。雲が
すぐ手のとどくところにあり、下の世界とはちがった風が吹いていた。
 わたつみ神社の境内にある楠の大木が、少年のお気に入りだった。
天気の良い日は、たいてい、学校がひけるとまっすぐわたつみ神社
にかけつけた。
 ときどき悪童どもが「まくらのすけ! まくらのすけ!」とはや
したてながら追いかけてくることがあったが、木の上に登ってしま
えば、少年に恐いものはなかった。いくら悪童どもがはやしたてよ
うと、石を投げようと、はるか木の上の少年にはとどかなかった。

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2 :まくらのすけ:2011/12/08(木) 22:04:32.36
ときには学校をさぼって、木の上で一日過ごすこともあった。朝から良
く晴れて、ぽかぽかとあたたかい春の日など、とても学校に行く気にな
らなかった。
 少年は学校が嫌いだった。
 暗くて、狭苦しい、折り箱みたいな教室が、大嫌いだった。やたらま
ずい給食も嫌いだったし、国語も算数も理科も社会も、みんな嫌いだった。
 少年にとって、教科書に印刷された文字は、解読不能の意味のない暗
号としか見えなかった。先生の質問に「はい! はい!」と手を上げて
答えるクラスメートたちが、みんな異星人に見えた。

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 少年は不思議でならなかった。なぜ他のみんなはあんなところに一日じっとしてることにがまんできるのだろう? まるで生まれる前から決められたことみたいに。
「あの雲はモスラに似てる」
 と、少年は山の彼方をながめながら思うのだった。
「あれはアンギラス。あれは、ウルトラQに出てきた土の中をもぐる怪物だ…なんてったっけ? ああ…怪獣たちの大群が町の上を通り過ぎてゆく」
 ときに少年は本当に怪獣たちの咆哮を聞いたような気がした。


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